動くクラシック絵画と写真 その作り方を公開

イタリア人アニメーター、 Rino Stefano Tagliafierro氏が、古い絵画の中の人物をまるで生きているかのように動かす作品を多数発表しています。

どのように作っているのか興味があったので自分でも作ってみました。

彼の作品に多く使われているのが19世紀のフランスの画家ウィリアム・アドルフ・ブグロー(William Adolphe Bouguereau)の絵画です。ブグローの作品が多く使われている理由は、写実的であり、絵の中の人物が動くと、まるで生きているかのように見えることにあります。

今回、古い絵画だけではなく、古い人物写真や彫像も動かしてみました。

 

本来、平面上に描かれた絵画の人物を生きているかのように動かすためには、画面の一部を切り取り、アニメーションで動かすだけではだめです。

上の動画で、少女が本を読んでいる作品「Difficult Lesson」では、目を開けたり閉じたりしています。これは、目を閉じた画像をPhotoshopで作り、目を開けているオリジナルの作品とワープ処理をしています。しかし、この操作では、少女の胸元のリボンの揺れは表現できません。そこで、リボンの揺れの部分だけ別に作り、後で目を開け閉めする画像スライドと合成をしています。

このように書くと簡単そうに思えますが、実際にはかなり面倒な作業です。合成の位置が少しでもずれると違和感を覚えます。完全に一致するまで位置調整を繰り返します。Photoshop上ではずれに気づかなくても、動画として出力したときに気づく場合があります。

最初のシーンで天使がバイオリンを弾いている部分は、天使の右腕の部分をMorph処理して作っています。しかし、バイオリンの弓の部分はMorphでは作れません。弓の背景の部分も一緒に動いてしまうからです。ここのため、弓の部分だけ別スライドにしてあとで合成しています。これは、「Difficult Lesson」のリボンの部分も同じです。単純なMorphでは背景も動いてしまうため作れないのです。

この部分のできがいまいち良くないので、新たに作り直してYoutubeにアップしました。

弓がずれるのを修正しました。天使の羽の動きも見にくかったし、背景も動かしたのでぼけた感じになっていました。修正バージョンでは天使だけを動かしています。音楽は、新条ゆきさんの「風の舞」を使わせていただきました。クレジットを入れています。

今回使用したソフトは、定番のPhotoshop。これは、画像の切り抜きとアニメーションの合成に使います。

Morph処理は「Abrosoft FantaMorph 5」というソフトを使っています。リボンの動きをMorph処理して、別スライドに合成するためには、リボンのMorphでできあがったスライドがきれいに透過処理されている必要があります。この透明処理機能を持っているのがこのソフトです。

エリザベートの写真は、画質が悪いため、肌の部分を修正してつるつるの美肌に加工しています。
この作品は、画像処理をした後で人物の部分を切り取り、残った背景の部分をコピーツールで人物のいない背景だけ描いています。これを背景画像とします。次に、切り取った人物の画像を「Abrosoft FantaMorph 5」に「Warp」用の画像として読み込み、その背景として、背景画像を設定します。「Warp」処理により、生き生きとした動画ができます。「Warp」処理のコツは、固定ポイントと移動ポイントを並べて設定すること。二つのポイントを常に並べて設定することで、非常に細かい動きを表現できます。体の前にある腕が動いたときに服が動かないのは、腕と服の境界に二つのポイントを設定し、片方だけ動かしているからです。

ミケランジェロによるモーセ像は、躍動感にあふれています。今にも動き出しそう。福者ルドヴィカ・アルベルトーニ、『聖テレジアの法悦』も生きているようにも見えます。これもエリザベートと同じようにWarp処理で作っています。

動画づくりで問題となるのが画像の解像度とソフトの処理能力です。ソフトの処理能力を超えるとフリーズしてしまうこともしばしば。フリーズする場合は画像の解像度を下げますが、できるだけ高解像度で作りたい。いつも冷や冷やしながら作っています。

動画のズームやパン、3Dカメラ位置の移動は、「PicturesToExe」というソフトを使っています。このソフトで処理できる動画はGIF形式に限られるため、GIFアニメーションとして出力したものを使います。

PhotoshopでGIFアニメとして出力すると画質が極端に低下する場合があります。この場合は、各フレームを出力し、「GIAM」を使ってGIFアニメにします。ところが、こうやってできあがったGIFアニメのファイルサイズは極端に大きい。「PicturesToExe」がフリーズします。そこで、「PicturesToExe」に読み込めるサイズになるまで画像の大きさを小さくしていきます。画質がどうしても劣化するのですが、やむを得ません。

「PicturesToExe」で処理して、mp4形式で出力。最後に、「Movie Maker」で複数の動画を一本にしています。

こうしてできあがった動画は、100MBを超えるかなり大きなファイルサイズになるのですが、Youtubeにアップロードすると、いくつかの適当なサイズのものを作ってくれます。自分のサイトに動画をアップよりもYoutubeにアップしてリンクする方が便利です。表示も速いし。

亡くなった方の写真をこのような処理をすることで今でも生きているような動画を作ることができる。ふと、そんなことを思いました。そのようなニーズがあるかもしれません。まあ、古い写真に写っている人物は皆さん鬼籍に入っていますが。

 

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