Excelで不定時法の旧暦時計をつくってみる

PC編

 一月ほど前にアップした記事ですが、全面的に書き直し、再アップします。
 最近、『旧暦』に興味が湧いていろいろ調べているのですが、奥が深く、現在の所、輪郭が分かった程度です。

 暦を専門に勉強されている方のホームページを読むと、『旧暦』の仕組みがあまりにも複雑で閉口してしまいます。

 情報量が多すぎて、結局の所、さっぱり分からない。

 管理人の関心は、江戸時代の人たちが普段使っていた『時間の感覚』がどんなものだったのかを手軽に体験してみたいというものです。

 江戸時代の人たちは、『不定時法』で生活していました。日の在るうちが昼で、日が暮れれば夜とし、昼夜をそれぞれ6等分(合計で12分割)していました。まさに、自然にマッチした時間設定の手法と言えます。

 季節により、昼と夜の割合は変化します。生活する上では、自然に従っているので問題はないのですが、現在のように、時計の文字盤が固定されている、いわゆる定時法を使っている我々からすると、江戸時代の文献に残された時間の記述を理解するのに苦労することになります。『暮れ六つの鐘が鳴った』と書いてあっても、それが現在の時計で何時なのかは分かりません。しかし、記録に日付けがあると解明する手がかりになります。

 昔の資料を読んでいて管理人が感じることは、漠然とした感覚でよいから、当時の人たちがそのイベントの日を、どのような時間感覚で過ごしていたのか、を知りたいということ。「朝起きて」⇒「それは現在では何時?」、「お昼を食べて」⇒「それは現在では何時?」、・・・・。できれば、視覚的に!

既存の不定時法の旧暦時計はネット上にないのか

 旧暦を研究している方がたくさんいて、いくつかのソフト(ウィジェットを含む)も公開されています。
 しかし、どれも管理人の欲しい機能は無い! 専門的すぎて、何のことかさっぱり分からない。それなのに欲しい機能が付いていない。

 管理人が欲しいのは、不定時法におけるその日の夜と昼の長さを視覚的に示すこと。そして、その日における二十四辰の配置。

 ところが、旧暦は太陰太陽暦を採用していて、計算がとても複雑です。太陽の動きだけで作られている現在の暦とは違います。だから面白い!

Excelでつくってみる

 この程度なら、Excelで簡単にできそう。早速つくってみました。

 定期的にExcelに触れていないと関数やVBAを忘れてしまうので今回が良い機会でした。

 完成品がこちら。延べ20日間かかりました。
 ざっとチェックしました。一応、エラーは出ないので、これで完成版とします。

 暦の基本的な部分(の理解)に誤りがあるかも知れませんが、普段使う分には、たぶん問題ありません。
 このExcel和時計は以下の機能があります。結構優れものです(笑)。

  • パソコンの時刻情報を取得して、Excel上でリアルタイムで表示しています。
  • 動かないとつまらないので、時計の秒針が自動で回転します。秒針(赤)と長針(赤)は普通の時計と同じように動きますが、短針(白)は二十四辰で動きます。(白い針が短針、赤い矢印の針が長針(といいながら短いですが)です。)
  • 画面右側に、直近の二十四節気と日にち、不定時法に従い、現在の時刻を十二辰刻、二十四辰で表示しています。
  • 文字盤は、二十四節気毎に昼と夜の長さが変化します。不定時法に従い、各刻の長さを変化させています。
  • 本日の日の出、日の入り時刻を計算で算出して表示しています。
  • 昼と夜の”一時(いっとき)”の長さを表示しています。
  • 現在時刻をデジタル表示しています。
  • 時計は「スタート/ストップ」ボタンで停止・再スタートさせることができます。
  •  各季節の表示は夜と昼の長さが変化するために文字盤も以下のように変化します。

     マクロで現在時刻を読み込み、時計はExcelのグラフ機能で動かしています。

    ダウンロード

     このエクセルブックはダウンロードできます。zipで圧縮しています。解凍してお使い下さい。

     ファイル名:旧暦和時計(Ver_1).zip Ver.2を公開しました。記事の最下部からダウンロードして下さい。

     ダウンロードURL: 無効(ver.2公開につき無効)
     ダウンロードパスワード:

     何に使うかよく分からない代物ですが、江戸時代の時間感覚を視覚的に捉えることができると思います。また、時代小説を読んでいるとき、その場面の時間感覚を掴むのにも使えます。

    便利な使い方

    1. [Start/Stop]ボタンを押すと、時計がスタートします。もう一度押すと時計が停止します。
    2. 時計を止めた状態でセルM1に任意の時刻を入力すると、短針を動かすことができます。
    3. 他の日付での動きを見たいときは、パソコンの「日付と時刻の調整」を変更してください。過去から未来まで任意の日付けで表示できます。ただし、日の出・日の入り時刻は過去には対応していません。
    4. 日の出・日の入り時刻は緯度・経度により異なります。これを設定することができます。(現在非表示になっている)「日の出・日の入り」シートを開き、セルA3とセルB3にそれぞれ任意の緯度、経度を入力して下さい。誤差は1分程度だと思います。同様にセルB4に調べたい日を入力すると、任意の日の日の出・日没を表示できます。ただし、2017年1月1日以降。調べ終わったら、元の値[=TODAY()]と入力するか、保存しないでファイルを閉じて下さい。

    改訂版(Ver.3.2)

     何か足りないと思ったら、旧暦を表示していなかった(汗)。
     旧暦表示、皇紀、六曜、年・日の十干十二支、さらに、月の満ち欠けの状態も追加しました(計算で満ち欠けを表示するこの設定にはちょっと感動すると思います。この設定をしているシートを開くと変化する月の状態とその日付けを高速で見ることができます)。

     ネット上に公開されている旧暦には二つの種類が有り、両者には1日違いがあるので、調整用のチェックボックスを追加しました。デフォルトは調整後の設定になっており、ネット上の多くのサイトの旧暦と同じ日付けになっています。チェックを外すと1日前の日付けになります。

     ファイル名: 旧暦和時計(Ver_3_3_1)20170320.zip (2017年3月20日版)

     ダウンロードURL: 旧暦和時計のダウンロード
     ダウンロードパスワード: CESAR331

     すみません。エラーが見つかったので、ファイルを差し替えました。ダウンロードされた方は再度お願いします。(2017/3/14 16:46)

     七十二候表示を追加しました。表示は、「本朝七十二候」、「略本暦」、「中国暦」から選択できます。(2017/3/20) 

    動きをYouTubeで見る

     文字で説明されてもどんなものかいまいち分からないと思うので、デモ版の動画をYouTubeにアップしました。配布版には暦を進めて月の動きを見るボタンはありませんが、[Final]シートの[Start]ボタンで同じことができます。(動画に写っているのは、Ver.3.2です。)