膨大な量の写真の中から位置情報が入っているものを探す方法

画像編

冒頭追記(2020年4月10日)

 2019年3月7日をもって、すべての Google+ API はサービスが終了します、とのGoogleの課金制度見直しにより、Google APIを使っている、ここで紹介しているソフト『JPGMap』でGoogle Map機能がうまく表示できなくなりました。

 このソフトはあまり使わなかったので改善されるか傍観していたのですが、最新バージョン(JPGMap 3.0.1だと問題なく表示できるようになっていました。最新バージョンはVectorからダウンロードできます。

 パソコン内の大量の写真の中からGIS情報を持っている写真を見つけることができる機能があるのは、管理人が知る限りこのソフトだけです。念のため、ここに追記します。

はじめに

 最近のデジタルカメラやスマートフォンで撮影した写真には位置情報が入っているため、何かと便利です。でも、自宅で撮影した位置情報付きの写真をSNSに投稿すると、自宅の位置が特定されるなど大変なことになる・・・場合もあります。

 投稿時に自動的に削除する機能や、そもそも画像に位置情報を追加しないカメラ側の設定など、対策は色々あると思います。

 今回は、ネットで探せば簡単に見つかるようなこの対策ではなく、パソコンの中に大量にある写真のどれに位置情報が入っているのか簡単に探す方法をご紹介します。これは、探しても簡単には見つからない(笑)。

 若い女性の方で、次のような心配をされている方も多いと思います。ブログに自宅で撮影した写真を大量にアップしている。しかも、撮影したカメラは色々あるため、どれかの写真にGPS情報が入っているかも知れない! もし入っていたら怖いけど、確認するのは、アップした写真が多すぎて無理!

 ブログにアップした写真にGPS情報が入っているかとても心配。だけど、アップしている枚数が多いといちいち調べるのは現実的ではありません。そんな時にも、画像のバックアップから一括して調べる方法をご紹介します。

 だれも書かない、ニッチな情報だけれど、意外とニーズは高いのではないでしょうか。

そもそも位置情報って何?

 写真の中の位置情報(GPS情報)は、「Exif」という情報の中に入っています。つまり、Exif情報の一部が位置情報だと言うことです。

 では、「Exif」とは何か? 「IT用語事典」には次のように書かれています。

『Exifとは、1994年に富士フィルムが提唱したデジタルカメラ用の画像ファイルの規格。JEIDAによって標準化され、各社のデジタルカメラに採用されている。最新版はExif 2.2(Exif Print)。TIFF形式で画像についての情報や撮影日時などの付加情報を記録できるほか、縮小画像(サムネイル)を記録することができる。画像形式はRGB無圧縮方式やJPEG方式など複数の形式をサポートしている。』

 この説明を読んでもイマイチ分からないのですが、要は、デジカメで撮影した写真には、「Exif情報」が組み込まれており、その内容は、カメラのメーカー名、機種、撮影日時、画像方向、ISO感度、光源、フラッシュの有無、画像圧縮率、位置情報(GPS:緯度・経度・標高)などです。

 その情報とはどのようなものなのか? では、具体的に見ることにしましょう。

 写真のファイルを右クリックして[プロパティ]を表示させ、[詳細]タブで情報を閲覧できます。下がiPhoneで撮影した写真のExif情報です。問題となるのは[GPS]という項目の緯度・経度の情報です。なお、この[GPS]という項目が表示されない場合は、GPS情報はExif情報の中にはありません。あるいは、Exif情報そのものが削除されています。

 ところで、プロパティに全てのExif情報が表示されるのかというと違います。一部分しか表示されません。ただ、GPS情報が入っているかどうかの確認にはこの方法が使えます。

 では、詳しいExif情報はどうやって表示するのでしょうか。
 無料の写真閲覧ソフトの定番『Irfan View』を使っているのであれば、簡単に表示できます。

 まず、「Irfan View」で画像を開き、キーボードの[I]をクリック。すると『Irfan View 画像情報』のウインドウが開きます。もし、画像の中に[Exif情報]が入っていれば、左下に[Exif情報]というボタンが表示されます。[Exif情報]が入っていなければ何も表示されません。

 この[Exif情報]のボタンをクリックすると詳細な[Exif情報]を閲覧できます。

 そこの書かれているのは次のような情報です。管理人がiPhoneで撮影した護国寺の猫の写真のExif情報です。

Filename – IMG_4515.JPG
Make – Apple
Model – iPhone 5
Orientation – Right top
XResolution – 72
YResolution – 72
ResolutionUnit – Inch
Software – 10.1.1
DateTime – 2016:11:07 15:25:23
YCbCrPositioning – Centered
ExifOffset – 206
ExposureTime – 1/120 seconds
FNumber – 2.40
ExposureProgram – Normal program
ISOSpeedRatings – 50
ExifVersion – 0221
DateTimeOriginal – 2016:11:07 15:25:23
DateTimeDigitized – 2016:11:07 15:25:23
ComponentsConfiguration – YCbCr
ShutterSpeedValue – 1/120 seconds
ApertureValue – F 2.40
BrightnessValue – 5.45
ExposureBiasValue – 0
MeteringMode – Multi-segment
Flash – Flash not fired, auto mode
FocalLength – 4.12 mm
SubsecTimeOriginal – 697
SubsecTimeDigitized – 697
FlashPixVersion – 0100
ColorSpace – sRGB
ExifImageWidth – 3264
ExifImageHeight – 2448
SensingMethod – One-chip color area sensor
SceneType – Other
ExposureMode – Auto
White Balance – Auto
DigitalZoomRatio – 5.00 x
FocalLengthIn35mmFilm – 165 mm
SceneCaptureType – Standard
Lens Info – 4.12 4.12 2.40 2.40
Lens Make – Apple
Lens Model – iPhone 5 back camera 4.12mm f/2.4

GPS information: –
GPSLatitudeRef – N
GPSLatitude – 35 46 33.67 (35.776019)
GPSLongitudeRef – E
GPSLongitude – 139 37 6.05 (139.618347)
GPSAltitudeRef – Sea level
GPSAltitude – 53.48 m
GPSTimeStamp – 6 25 23.0
GPSImgDirectionRef – Magnetic direction
GPSImgDirection – 250.041641
GPSDateStamp – 2016:11:07

Maker Note (Vendor): –

Thumbnail: –
Compression – 6 (JPG)
XResolution – 72
YResolution – 72
ResolutionUnit – Inch
JpegIFOffset – 1440
JpegIFByteCount – 11527

 

 ついでに書くと、[EXIF情報]というボタンの下に[IPTC情報]というボタンがあります。これは、Exif情報を基に生成された検索向けの情報のようですが、この中にはGPS情報は入っていません。Irfan Viewでは、これにコメントを書き込むことができます。

 ファイルにより、上の画像のように[EXIF情報]と[IPTC情報]の二つがあるもの、[IPTC情報]だけのもの、どちらもないものがあります。

 ここまでで、写真ファイルの中に様々な情報があることを理解し、その中にGPS情報が入っているかどうかの確認方法が分かったと思います。

 さて、今回のテーマは、一枚の写真ではなく、数百枚、数千枚という大量の画像データの中からGPS情報が入っているものを探し出す、あるいは、入っていないことを確認するということです。

 一枚の画像で確認するのは上で紹介した方法で簡単にできますが、写真の数が多いとこの方法では無理です。

 Exif情報を表示するフリーソフトもありますが、その機能は一枚の写真の情報を表示するだけなので、大量の写真には使えません。それに、知りたいのは、Exif情報の有無ではなく、GPS情報の有無なので、通常のExif情報表示ソフトは使えません。

 では、どうするか。

大量の写真の中からExif情報(GPS情報)を含むものを見つけるフリーソフト

 大量の写真の中からExif情報(GPS情報)を含むものを見つけるには、『JpgMap』というフリーソフトを使うと便利です。

 このソフトは、写真に記憶されたExif情報の中のGPSデータ(撮影時の緯度経度、方位)を基に、GoogleMap上にその撮影位置、方向住所を複数表示する機能があります。GPSデータ付き写真をたくさん読み込むと、その数だけ地図上にプロットされていきます。

 具体的に見ると下の画像のようになります。
① のペインには写真のプレビューが表示されます。
② のペインに読み込んだ全ての画像の撮影位置がGoogleMap上に表示されます。矢印で撮影した方向も表示されます。
③ のペインはフォルダ構成です。読み込んだフォルダの中の子フォルダを順次表示していくときに使います。
④ のペインが今回のテーマであるGPS情報の表示部分です。なお、デフォルトでは違った表示になっているので、メニューバーの[表示]⇒[詳細]でこのように表示します。

 上の画像を見ると分かるように、④のペインにGPS情報が表示されています。もし、読み込んだ複数の写真の中にGPSデータをもつものが一つもない場合は、何も表示されません。当然、地図にも何も表示されません。つまり、ここで多数の写真の中のGPSデータの有無を一括して確認できるというわけです。一つ一つ確認する必要はありません。

 管理人のパソコンの中にある茜さやさんのフォルダを開いてみると、GPSデータを持っている写真が一つもないことが一瞬で分かります。

JpgMapを使う場合の注意点

 このソフトは、上で書いたような目的で使うように開発されたものです。したがって、数千枚という大量の画像を読み込もうとするとフリーズしてしまいます。

 また、JpgMapは、画像の読み込みに時間がかかります。このため、GPS情報の有無を確認したい写真が大量にある場合には、ちょっとした工夫が必要です。

 上で述べたように、JpgMapは大量の画像を読み込むとフリーズすることがあります。このため、一度に読み込む画像ファイルの数は100個程度にして、複数のフォルダに分けたほうが良いでしょう。

  JpgMapはVectorからダウンロード可能です。現在の最新 Version は V2.0.3 です。

 さて、ここまでまじめに読んだ方は、別の使い方に気づいたのではないでしょうか。
 GPSデータはとても便利ですが、個人のプライバシーが公開されてしまうという危険性もはらんでいます。

 そして、悪いことを考える輩は、GPSデータを写真に組み込むという逆手を考えます。決してやらないでください。

 GPSデータの組み込み処理はこのソフトで簡単にできてしまうから、ある意味怖い。

 管理人は以前、過去記事『『猫島』発見される!』で書いた『猫島』の画像をGoogle Earth上に配置するときに使いました。この程度のお遊びに留めておくべきでしょう。くれぐれも悪用しないように。