ミュシャ展に行ってきました:行くなら今でしょ!

生活編

 ミュシャ展を観に東京・国立新美術館に行ってきました。この展覧会は、2017年3月8日(水)から6月5日(月)まで開催されています。もし観に行くのであれば、それはいつ? 今でしょ! 今日は、そんなお役立ち記事です。

 ミュシャ展の中身はホームページに書かれているし、ミュシャのことはWikipediaを読めば大体分かります。このページにたどり着いた方の関心は、展覧会が混んでいるのかどうかと、具体的な展示内容ではないかと思います。
 その当たりを中心に書きたいと思います。

国立新美術館チケット売り場の待ち時間

 観覧料は1600円。高いなぁと思ったのですが、展示物の圧倒的なスケールとボリュームに驚いてしまい、この料金は決して高くはないと感じました。
 ミュシャに関心のある方には絶対お奨めの展覧会です。
 東京・国立新美術館に行ったのは今回が初めてです。

 正面に見える巨大な建物が美術館です。



 大混雑を心配していたのですが、チケット売り場に並んでいる人は常時20人程度。展示を見終わり、帰るときも20人並んでいました(数えたので正確です)。待ち時間は5分ほどでした。

 展示会場入口は、行列をつくるほどではなく、すんなり中には入れます。

展示室の中の状況

 展示会場の入口に、お約束の『撮影禁止』張り紙があるので、その張り紙を撮影していたら、「撮影禁止です」と言われてしまった(笑)。

 この美術館では、常時、複数の企画展が開催されており、ミュシャの他に草間彌生の展覧会も開催されています(2017年2月22日(水)~5月22日(月))。

 このため、ミュシャ展は、ちょっとした区画を区切った小さなスペースで開催されているのかと思ったのですが、実際にはとても広いスペースを使っています。話題の巨大傑作《スラヴ叙事詩》が20枚、ドドドーンと展示されており、圧巻です。どれだけ広いのだろうと思ってしまいます。

 絵が巨大なため、観覧者は絵から離れて観ます。そのため、小さな絵の展覧会のように順番待ちする必要もなく、ゆったりと眺めることができます。

 写真撮影の話に戻ると、今回は全面撮影禁止ではなく、一部の区画は撮影が許可されている。
 許可されているのは、しょぼい絵画なのだろうと思っていたら、20枚の《スラヴ叙事詩》の後半部分⑮~ ⑳の5枚が撮影可能エリアにありました。

 まったく中途半端な規制です。全部撮影可能にすれば良いのに。

 中はこんな感じです。たぶん、この瞬間、200人くらいの入場者がいるのでしょうが、とても混んでいると言うほどでもない。ゆっくりと見て回ることができます。スペースがとても広い。



 入口からいきなり20枚の巨大な《スラヴ叙事詩》が展示されていて、圧倒されてしまいます。
 しかし、管理人の関心は、アール・ヌーヴォーを代表するグラフィックデザイナーとしてのミュシャの絵です。


 四季:「春」の目を変えてみました。本物と比較して見て下さい。

 これも、有名な作品のほとんどが展示されています。チェコのプラハ国立美術館から借りたものばかりでなく、堺市が所蔵する大量のミュシャ・コレクションが展示されています。このコレクションはすごい!
 二時間くらいかけてじっくり見て回りました。

 
 展覧会から自宅に戻り、昔買った萩尾望都のイラストを観てみました。
 ミュシャの描く人物は、額の所に特徴があり、それが萩尾望都のイラストを連想させます。



 このイラストは、1978年発行の「萩尾望都 自選複製原画集」(B4サイズ、32葉)で、本箱に入らないので、いつもは本箱の上で寝ています。

 日本の少女漫画やイラストは、ミュシャの影響をかなり受けていると思います。
 今回、ミュシャの絵を見て思ったことは、目にハイライトが入っていないということ。いわさきちひろの絵のような感じです。視線が定まらない、虚空を見つめる女性、という印象を受けます。

 展覧会で、入口を入って直ぐに展示されているのが下の『故郷のスラヴ人 — トゥラン人の鞭とゴート族の剣の間で』です。《スラヴ叙事詩》の最初の作品です。描かれている人物(スラヴ民族のアダムとイヴ)は、ほぼ実物大の大きさです。この絵がいかに巨大なものかが分かると思います。(絵を近くで見ようと絵に近づいていった女性がいたのですが、その女性が絵の中の人物と同じ大きさなのでビックリ。この絵はやはりデカイ!)

 そして、瞳にハイライトを入れないで一色で塗りつぶすことで、恐怖におののく表情をうまく表現しています。


故郷のスラヴ人 — トゥラン人の鞭とゴート族の剣の間で

 ミュシャの作品を観ていると、そこに描かれた人物は、真っ正面か真横を向いたものがとても多いことに気づきます。萩尾望都の作品も真っ正面を向いた絵が他の作家さんよりも多い気がします。

今なら並ばずに観られるミュシャ展

 来る4月16日、午前9時からのEテレ「日曜美術館」で「ミュシャ 未来を見つめる超大作」が放映されます。
 NHKでは先月、3月16日にも「華麗なるミュシャ 祖国への旅路 パリ・プラハ 二都物語」を放映しましたが、その再放送が4月13日に行われます。

 管理人が何を言いたいか分かりますね。

 伊藤若冲の展覧会5時間待ち・・・、の悪夢が蘇る方もいるのでは。

 今なら、並ばなくても観ることができます。観たいと思っている方はここ数日が勝負です。番組放送後は伊藤若冲の場合と同じような状況になるのではないでしょうか。

 ちなみに今日、火曜日はこの美術館は休館日です。
 この記事に関心のある方は、次の過去記事もよろしかったらご覧下さい。

 『ミュシャの絵画に引き込まれてしまうGIFアニメ

 最後に、管理人の心残りが一つ。出口直前の壁際に湿度センサーが設置されていました。このセンサーの値が気になる。プラハの湿度に設定されていると思うのですが・・・。


   Alphonse Mucha – la musique, 1898 1600px版で作成

 ミュシャは、1860年7月24日に誕生し、1939年7月14日に亡くなっています。生まれた場所は、当時のオーストリア帝国領、現チェコ共和国東方のモラヴィアの田舎町イヴァンチツェ(Ivančice)です。

 ここで出てくるオーストリア帝国とは、オーストリア=ハンガリー帝国とも呼ばれ、その皇后がエリザベートでした。ミュシャが生まれる6年前、16歳で結婚した皇后エリザベートは、その時22歳でした。

 当時のオーストリア帝国は、現在のオーストリア、チェコ、スロバキア、ハンガリー、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの全部とポーランド、ウクライナ、ルーマニア、セルビア・モンテネグロの一部にまたがる大帝国でした。

 ミュシャの絵を見ていると、彼の描く女性はエリザベートの面影を色濃く映し出しているように思います。そう感じるのは管理人だけでしょうか。

 エリザベートについては、右サイドバーのカテゴリー「Empress Sissi」をご覧下さい。