エクアドル、赤道直下で起きる怪現象!

古代の謎・歴史ヒストリー

 赤道直下の国エクアドル。その国名は赤道から名づけられました。
 エクアドルを通る赤道ラインは、首都キト数十キロ北側に位置します。

 この赤道直下の場所では、とても不思議なことが起こります。
 先ずは、ビデオをご覧下さい。管理人が撮影し、YouTubeにアップしたものです。

 もう少し詳しくご紹介しましょう。

 撮影場所は、エクアドルの首都キトから車で40分ほど北、直線距離で26Kmの所にあります。

 この場所は「Mitad del Mundo(世界の半分)」と呼ばれている観光名所になっていて、博物館などがあります。

 この「Mitad del Mundo」と呼ばれる観光場所は、実は2ヶ所あり(民族学博物館、インティニャン博物館)、民族学博物館の方の赤道表示は「本当の赤道から4分ばかり南側にずれている」ようです。そして、そこから50mほど離れた所にあるもうひとつの観光施設インティニャン博物館は、正確に測定した赤道上にあり、そこでは「赤道マジック」とも呼べる興味深い物理現象を見ることができます。

 下の画像で、下部にキト、上部に「Mita del Mundo」が表示されています。画像をクリックすると拡大表示できます。


 出典:Google Earth

Google Earth用緯度経度

 Google Earthの検索窓に以下の緯度経度をコピーペすると目的の位置が表示されます。

  0° 0’7.81″S 78°27’20.76″W

インティニャン博物館:Museo Intiñan

 まず、位置関係を確認しましょう。民族学博物館に隣接しているのがインティニャン博物館です。隣接しているといってもどちらも広大な敷地を持っているので、双方の博物館の中心部分の距離は200m位離れています。


出典:Google Earth

 このインティニャン博物館はとても興味深い所で、正確な赤道はこの博物館を通っており、「赤道マジック」と管理人が名付けた興味深い物理現象を見ることができます。
 
 この博物館の奥の方へ行くと、正確な赤道のラインを引いている所にたどり着きます。「今度こそ、本当の赤道だ!」と喜んで写真を撮っていると、この博物館のガイドが近づいてきて、説明してくれました。そして、赤道ならではの面白い現象を実演してくれます。

 この赤道ラインは、軍事用GPSで計測した正確な赤道のラインなのだそうです。

 Latitud:00°00′00″ のラインが引かれています。緯度ゼロです。

 この赤道のラインをはさんで、以下の三つの不思議な現象を体感できます。

① 水流方向の変化!
② 赤道上での力の減少!
③ 斜めの釘の頭に卵が直立する!

 これらの不思議な現象の記事は、以前、本館に書いたので、関心のある方はそちらをご覧下さい。

 「必見! 赤道マジック:エクアドル」

 今回の記事では、①の「水流方向の変化」を取りあげます。

 ご存じの方もいると思いますが、洗面台に溜まった水は、排水する時に北半球では反時計回りの渦を描きます。南半球では反対に、時計回りの渦を描きながら排水されます。YouTubにアップしたビデオは、最初に赤道ラインよりも南側、つまり、南半球側に流し台を置いてやっています。

 次の場面では、流し台を移動し、赤道ラインより北側、つまり、北半球側でやっています。二つの実験では渦の方向が異なっています。

 では、赤道上ではどうでしょう? そうなのです。まったく渦を描かずに排水されます。

 ガイドが実演して見せてくれます。まず、赤道上に設置した台所の流し台の排水ゴム栓を外すと全く渦を描かずに排水されました。

 木の葉を水面に落とすので、水流の動きがよく分かります。

 これはコリオリ効果として説明がつくようです。

 「コリオリ効果」で説明できると聞いて、納得してしまう人は、「オレオレ詐欺」に遇いやすい人です。専門家は、そんな馬鹿なことは言いません。「コリオリ効果」はとても小さなものであり、今回の現象をこれで説明しようとする専門家は誰もいないでしょう。

 「何らかのトリックでは?」。しかし、そんなことを言っている人は、実際に見ていないからそんなことが言える! 科学の知識が少しばかりあるからと、現物を見ずに物事を判断しようとするのはよくない。

 実際に見ると、とても不思議です。
 
 もう一度、実験の様子を詳しく説明します。流し台を赤道ラインから2メートルほど南に移動して同じ実験をすると、確かに時計回りに渦を描いて排水されています。今度は赤道ラインから北側に2メートル離れた場所で同じ実験をすると反時計回りに排水されます。

 さらに、赤道上でやると、今度はまったく渦を巻くことなく、水が排水されていきます。

 これには本当にびっくりしました。なぜびっくりしたか分かりますか?

 地球の赤道半径は 6,378.137 kmです。円周は40,073kmもあります。このスケールで見れば、赤道から2メートル離れたとしても、極端な物理現象の違いが起きる筈がない! というのが管理人の考えでした。今もそう思っています。たとえば、水が渦を巻かずに排水される場所は、赤道上のもっと幅のある範囲だと考えていました。その幅は、数キロから数十キロ程度あるのではないかと考えていました。しかし、ここで見た現象は、赤道を挟みわずか2メートルのところで起きました。

 この「赤道には幅があるはずだ」という疑問は解決しないままです。

 さらに、別の疑問もあります。赤道を挟んで南北2m程度の微妙な範囲で起きる現象であるのなら、「赤道ライン」はどうやって引いたのか。つまり、「赤道ライン」自体の計測精度の問題です。
 
 そこでガイドに正確な赤道をどうやって測ったのか聞いてみました。管理人が持っていたGPSでは南緯00 °03分を指していたのでその違いも聞いてみました。

 ガイドの説明によれば、カナダの軍事GPS 南米システム 69 (GPS Militar Canada, Sistema América del Sur 69)を使った測定によるものでとても正確であるとのこと。商用ベースの衛星は GPS Comercial 79 というシステムを使っているので2~3分の誤差が出るのだそうです。

 管理人の疑問は、真円ではない地球を測地する座標系の決め方には物理の世界ではなく人間が決めた部分が入っているので、赤道を挟んでわずか2メートルのところで明らかな差が見られるはずがない、というものです。GPSが示す赤道とは人間が決めたもので物理の世界とは別のレベルのものだということです。だから、こんなことが起きるのはマジックだ、というのが管理人の結論です。要は、「わかりましぇーん」ということです。

 この不思議な現象をコリオリ効果だとして片付けてしまうのは、少なくとも理系の人ではありません。ネット上では、コリオリ効果の意味も分からずにこれはトリックだと紹介している記事もありますが。

 地球規模というマクロの現象をわずか数メートルというミクロにあてはめようとするところに無理があるように思います。誤差の議論をクリアできない限り、論理的に説明できません。

 この解決編を書きたかったのですが、なかなか書けません。実際に現地で見ていなければ適当に書けるのですが、何しろ見てしまったのでいい加減なことは書けない。

解決編

 現時点で唯一考えられるのは以下の方法です。

 そもそもコリオリの力はとても弱いもので、地球規模で見て初めて確認できる程度です。赤道ラインをはさんでわずか2メート程度の距離で、北と南で違いがある訳ありません。

 排水の時に発生する水の渦の方向は、初期の状態によって大きく左右されるようです。つまり、時計回りの渦をつくりたい時には、その方向の水流が生じるように水を流し込む。渦をつくらないためには、真上から注水し、水面の波打が完全に収まってから栓を開ける。

 動画を見ると、どの実験でも栓を抜く前の水面は波打っておらず静かです。渦を描くような回転もしていない。でも、底の部分には水流があるのではないでしょうか。

 多分のこの方法で渦の方向を自由に変えているのだと思います。
 まさにマジックです。科学実験とはほど遠い。