『DESTINY 鎌倉ものがたり』の「黄泉の国」のモデルとなった張家界とは?

世界遺産

堺雅人、高畑充希主演の映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』がとても面白そうなので、そのうち観に行こうかと思っているのですが、この映画の後半部分の舞台である「黄泉の国」のモデルとなったのが、中国の世界遺産『武陵源』です。

最近、世界遺産『武陵源』に関する番組が立て続けに放映されている気がします。

そして、つい先日、うちの奥様が、そこに行ってきました。映画の舞台である「武陵源」と「鳳凰古城」です。

帰国後、写真を見たのですが、まさに「黄泉の国だ!」という感じでした。

映画の宣伝をテレビでやっていましたが、映像ロケ地は「武陵源」と「鳳凰古城」という説明だけで、「張家界」という名前が出てこない。

ネットで調べても、『DESTINY 鎌倉ものがたり』と『張家界』を結びつけている記事は見当たりません。ライターがネットとテレビの情報だけで記事を書いているということがよく分かります。


Ⓒ なんでも保管庫

世界遺産『武陵源』

1992年に世界遺産に登録された『武陵源』。中国湖南省張家界市にある張家界森林公園、索渓谷自然保護区、天子山自然保護区などの地域からなる自然保護区の総称です。

「武陵山脈にある張家界は険しい峰が連なるカルスト地形の奇観で知られ、1982年9月に国家森林公園に指定された。1992年には張家界国家森林公園、索渓峪風景区、天子山風景区の三つの風景区で構成される「武陵源自然風景区」が世界遺産となっている。」(Wikipedia、張家界市

Wikipediaの『武陵源』の項は、英語版を翻訳した、ほとんど何も書かれていない、すっからかんの内容になっています。

高さ200mを超える石柱が3,000以上も林立する奇観は、世界中にある世界自然遺産の中でも群を抜いています。このうち、2,000本以上の石柱があるのが天子山風景区です。3億8000万年前の海底が地殻変動により隆起し、自然の力が気の遠くなる歳月をかけてつくりあげました。

中南米をフィールドとする管理人にとって、チチェン・イッツァやウユニ塩湖こそ一生に一度は訪れるべき場所と思っていたのですが、『武陵源』の光景を見て唖然としました。

H.I.S.の観光案内ページを見ると、「(武陵源が)広く知られるようになったのは、近くに鉄道が敷かれた1970年代に入ってから。それまでは、トゥチャ族やミャオ族といった少数民族だけが暮らす秘境でした。彼ら少数民族は戦乱から逃れるため、この秘境の暮らしを選んだと言われており、今でも武陵源の奇岩には、こうした少数民族の苦難の歴史を伝える伝説が語り継がれています。」と書かれています。

これと同じようなことは他でも書かれています。

この手の情報は、疑ってかかるのがこのサイトの基本です。

葛飾北斎が描いた中国古地図『唐土名所絵』というものがあります。この中で、『武陵源』がしっかり描かれています。

武陵源は秘境で、そこに暮らす少数民族以外、知られていなかった、・・というようなことが書いてある文章を見つけたら要注意です。北斎がこれを描いた江戸時代でさえ、武陵源がとても有名な清国の『名所』であったことが分かります。

ネット上のライターの情報がいかに危ないものかを示す好例かと思います。「少数民族」、「戦禍を逃れる」、「秘境」などのキーワードをつなげると、想像できるのは、「中国でもほとんどの人が知らなかった場所」というイメージにつながるので、そのような憶測で書いているのでしょうが、北斎は知っていました(笑)。

天門山(Tianmen Mountain)で話題なのが「ガラスの遊歩道」。この近くに、(小さな)ガラスの吊り橋もあります。

モデルは茜さやさんに登場していただきました。


歩道を歩くとガラスにひび割れが入るという趣向を凝らしているようです。それよりも、この歩道本体の安全性の方が気になります。

武陵源

映画『アバター』のイメージ造りに使われた武陵源。まるで別の惑星のような光景が広がっています。


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今回の旅行では、天候に恵まれず、寒いし雲ばかりで何も見えない、という感じだったようです。それでも、雰囲気は伝わってきます。

武陵源に行っても、実際に見られるのは遊歩道からの景色のみ。武陵源の雄大な景色を堪能するには、やはり、鳥になって上空から観るのが一番。今の時代、ドローンで簡単に撮影できます。そして、多くの人がYouTubeにアップしているので、自分でドローンを飛ばす必要もありません。

下の動画は4Kで撮影したものだそうです。さすがに高画質で見応えがあります。

Source: YouTube “Zhangjiajie Phantom 4 Drone Footage in Hunan, China”

張家界大峡谷

張家界国家森林公園の『張家界大峡谷』には、ガラス床版の吊り橋があります。この橋はイスラエル人の設計によるものですが、問題はその施工。設計が正しくとも、施工に問題があれば橋は崩落します。H.I.S.のツアーではここにも行きます。

この地域は、地震の発生はほとんど無いようなのですが、問題となるのは『風』。アメリカのタコマナローズ橋が崩落した映像を観たことがあると思います。その原因として『共振現象』が挙げられましたが、反論もあり、結局、原因が分からないようです。

地震の無い国の設計者が、地震国の構造物の設計をすることほど恐ろしいことはありません。地震に対する検討は、経験は一切入っておらず、他人の設計を使っているだけなので、とても怖い! この吊り橋は開通直後、予定通行人数をオーバーしたとして閉鎖されたといういわく付きの橋です。

中国の施工技術を信じるか信じないかは、あなた次第です!

下の画像は、茜さやさんがとても大きく表示されていますが、この橋の幅は6メートルです。

鳳凰古城

『DESTINY 鎌倉ものがたり』で重要な場面である黄泉の国の舞台となるのが『鳳凰古城』の風景です。「ALWAYS 三丁目の夕日」などの作品で知られる山崎貴監督が最初に描いた黄泉の国のイメージ画が『鳳凰古城』にそっくりでした。監督は、『鳳凰古城』のことを知らずに絵を描いたのだそうです。

まさに、『黄泉の国』の原風景といった感じの街並みです。撮影した写真には、すべて日付が入っていたので、できるだけ消しました。めんどくさくなったので、一部はそのままです(笑)。

鳳凰古城

鳳凰古城

張家界は、少数民族であるミャオ族が集住している地域で、独自の文化を保持しているようです。

下の写真に美人が写り込んでいますが、この部分は「コラ」ですので念のため。

コラで使った景甜(ジン・ティエン、1988年7月21日- )さんは、張家界のある湖南省の北西、陝西省西安市の出身で、現在29歳です。彼女の写真は10年以上前に初めて見たのですが、現在もハリウッドで活躍されているようです。

下の動画を観ると、カワイイ! 気持ち悪いナメクジ顔が溢れている現代から見ると、当時(10年前)の動画が新鮮に見えます。口の形状が魅力的な女優さんですね。

  Source: YouTube “不懂爱 – 景甜”

張家界に行くには、季節が重要かも。うちの奥様が行ったときには、曇り空で、霧が立ちこめ、武陵源はほとんど見えない状況だったそうです。意外に雨が多いので、もし旅行を計画している方がいれば、いつの時期がよいか確認した方が良いでしょう。

日本人は、中国の漢字が読めない

漢字を使っている日本人は、中国旅行をしても問題ない! と思っていると実際には、読めない漢字ばかりで驚いてしまいます。漢字の省略形を使うときでさえ、語源からそれは正しくない! などの批判がある日本ですが、本場中国では、漢字学者が嘆くような語源を完全に無視した簡体字が使われています。漢字文化は、台湾と日本で受け継いでいるという気がします。

現地の案内板を見ても、何のことかさっぱり分からない。こんなときは、英語が役立ちます。看板の下には大抵、英語表記があります。簡体字が分からない日本人は、当然、読めません。その時は、英語で発音してみると、もしかしたら通じるかも。

切符売り場は、「门票站」と地図に書かれています。
主要な地名の英語表記と中国語表記を以下に掲載します。

门票站:チケットステーション
Luoguta (锣鼓塔街道)(森林公园)
Wulingyuan (武陵源)
Tianzishan (天子山)
Yangjiajie (杨家界)
Yuanjiajie (袁家界)
Tianbo Mansion (天波府)
One Step to the Heaven (一步登天)
First Bridge Under Heaven (天下第一桥)
the famous Avatar Hallelujah Mountain (阿凡达-哈利路亚)
Enchanting Terrace (迷魂台)
Back Garden (后花园)
Bailong Elevator (百龙天梯)
Ten-mile Gallery (十里画廊)
Golden Whip Brook (金鞭溪)
Huangshi Village (黄石寨)
Xiehe (协合乡)
Zhonghu, Zhangjiajie (中湖乡)
Tianzi Mountain Ticket Station (天子山门票站)
Yangjiajie Ticket Station (杨家界门票站)
Wujiayu Ticket Station (吴家峪门票站)