トイレの水漏れが止まらない:自分で修理

生活編

 以前から気になっていたトイレの水漏れ。便器の中に水が少しだけ流れ続けている。ほんの少しのように見えるけれど、たぶん、一晩で風呂桶二杯分くらいの水が流れているはず。

 水道代だけでなく、下水代も支払うことになるので、早速修理することにしました。

 業者に依頼すると、9000円~16000円くらいかかるらしい。こんなものは自分で修理しましょう。

1.水漏れの原因

 最初はフロートゴムの劣化かと思ったのですが、実はオーバーフロー管の根元の亀裂からの水漏れが原因でした。

 トイレはINAX製なのですが、このオーバーフロー管の破損はINAX製独特の構造上の問題らしい。その証拠に、他のメーカーでは発生しないトラブルなのだそうです。

 どこが原因か確かめるには、最初に、フロートゴムを上から押しつけてみて、水漏れが止まればフロートゴムが原因です。もし、変化がなければ、オーバーフロー管の亀裂を疑った方が良いでしょう。管理人のケースでは、オーバーフロー管を少し動かしただけでポキッと根元から折れました。

2.修理方法

 オーバーフロー管が折れてしまったので、通常であれば、フロート弁座ごと新品に取り替えます。

 ところが、ここで問題が。フロート弁座を取り外すには、大きなレンチのような特殊な器具が必要となります。

 パイプレンチかウォータープライヤーのような大口径のボルトを回せる工具が必要です。普通の家庭にはないかも。

 そこで、塩ビ管をオーバーフロー管の中に入れて補強してくっつけることにしました。

【材料】

塩ビ管 VP-16
シールテープ
接着剤(塩ビを接着できるタイプ。位置を調整するので、瞬間接着剤は不可。)

【修理手順】

 最初に、大きなマイナスドライバーで止水栓を回して水を止めます(止水栓の場所は上の写真参照)。

 オーバーフロー管の内径は23m。塩ビ管 VP-16の外径は22mで、若干の隙間が生じます。このままではゆるゆるです。シールテープを巻いて調整しても良いのですが、少し隙間が空きすぎで接着剤が効かない恐れがあるため、塩ビ管を火であぶって広げることにします。

 最初に、塩ビ管の端を斜めに切断します。次に、11cmくらいの長さに切断します。

  塩ビ管をオーバーフロー管にセットすると下のような位置になります。斜めに切断したところが オーバーフロー管の折れた部分にきます。後で出てきますが、オーバーフロー管の『W.L』マークと塩ビ管の切りかきの方向は写真のようにセットします。

 次に、切断した塩ビ管を火であぶり、キリの柄の部分を塩ビ管に入れて穴を広げます。

 塩ビ管をオーバーフロー管に入れた時、かるく擦れる程度まで広げます。

 広げた塩ビ管にシールテープを巻きます。あまり巻きすぎると入らなくなるので、ほどほどに。下の写真は巻きすぎでした。

 シールテープを巻いたら、塩ビ管の中にキリの柄を差し込み、持ち手としてから、接着剤を塩ビ管全体にまんべんなく薄く塗ります。折れた部分にはたっぷりと塗ります。シールテープ部分には塗る必要はありません。ここで重要なのがオーバーフロー管に塩ビ管を差し込むときの切りかきの方向です。

 塩ビ管の外側とオーバーフロー管の間の水はシールテープで止水できますが、フロート弁座との接合部は接着剤だけで止水することになるので、弁座側にも隙間なく接着剤を塗ります。

 下の図の接着面に示すように、オーバーフロー管と弁座とはわずかな部分で接着しているだけなので、この部分の接着がうまくいかないと漏水の原因になります。

 塩ビ管の切りかきの方向は下図のような向きにします。オーバーフロー管上部に『W.L』の文字があります。これが正面から見て右側にきます。塩ビ管の切りかきの方向も同じ向きになります。破断面をぴったり合わせるために、『W.L』のマークの向きに注意しましょう。

 接着剤が手に付くと洗っても取れないので、ゴム手袋をはめて作業します。

 後は、フロートゴム玉などの部品をオーバーフロー管にセットして、弁座の折れた部分に位置を合わせて接着。

 作業はこれで完了。

 二時間くらい硬化させてから、止水栓を開けて水を流してみます。

 一滴の水も漏れ出してきません。無事修理が完了しました。

 ここで補足。

 修理屋さんにこの作業を頼むと、塩ビ管の代わりに、下のような接続管を使うようです。切りかきの部分が大きく、オーバーフローした水を適切に流せる構造です。もし、このような加工を簡単にできるような工具をお持ちなら、この形状にトライしてみてください。

 作業のポイントは、排水を妨げないように切りかきの方向をセットすることと、破断面を合わせてきれいに接着すること。フロート弁座を取り外せば簡単にできるのですが、今回はフロート弁座が便器にくっついたままの作業だったので、切断面がよく見えない。『W.L』マークの方向を頼りに作業をしました。

 後日談。

 工具箱の中を探していたら、ウォータープライヤーが見つかりました。これが分かっていたら、新品と交換したのに・・・。
 DIYがはやっていますが、工具の数が増えるのが難点です。できるだけ新しい工具は買いたくない。工具の値段が高いので、自分でやっても、トータルの出費額は業者に頼むのとさして変わりがないことも。工具は何度も使えるから、・・と思っても、今回のように、存在さえも忘れてしまうこともしばしば。滅多に使わない工具は買わない工夫が必要ということでしょう。

 今回の作業で使った工具は、止水栓を回したマイナスドライバー、キリの柄の部分と塩ビ管を切断したノコギリだけでした。

6年後、再度、水漏れ発生

 最近、トイレの水漏れが続いていると感じたので、調べてみました。以前修理した箇所で再び水漏れか?

 この記事は、6年前に書いたものですが、まあ、6年間もよくもったと感じました。

 オーバーフロー管を少し右に倒すと水漏れが止まり、みだりに倒すと漏れが激しくなる。やはり、修理箇所からの水漏れのようです。

 今回は、パテを使って修理します。こんなこともあろうかと、以前買っておいたものです。

 セメダイン株式会社の「エポキシパテ 水中用」という製品で、二層からなるチューブ状のパテを練って使うタイプです。水中でも使え、今回の修理にまさにうってつけ。

 これを使って、紐状にして、破断面周辺に巻き付け、オーバーフロー管との間に隙間ができないように押します。

 修理は5分ほどで終わりました。硬化に6時間。このパテはカチカチに硬化するので、同じ箇所からの水漏れはもう心配しなくても良さそうです。

 最初からこのパテを使って補強しておくと安心できると思います。