ダヴィンチの暗号:生涯持ち続けた三枚の絵は組み絵だった!?

古代の謎・歴史ヒストリー

 久しぶりのなぞの解明記事ですが、この記事は完成していません。あらかじめご承知の上お読み下さい。

 誰も聞いたことがない独自の仮説を展開します。

1.レオナルドが生涯手元に置いた三枚の絵画は組み絵だった?(仮説の提示)

 レオナルド・ダヴィンチが生涯『モナ・リザ』」を手放さなかったことは有名です。しかし、手放さなかったのはモナリザだけではなく、実は他に二枚の絵も生涯持ち続けました。

 『聖アンナと聖母子』と『洗礼者聖ヨハネ』の二枚です。

 このことを知ったとき、三枚の絵はもしかしたら「組み絵」なのではないかと思いました。そう、三枚の絵を組み合わせることで一枚の絵になる。だから、三枚の絵を手元に置いておく必要があった。

 この三枚の絵のうち、完成したのは『洗礼者聖ヨハネ』のみで、『モナ・リザ』と『聖アンナと聖母子』は未完成でした。

 この三枚が組み絵だと考えると、なぜ未完成だったのか推測できます。時折、三枚の絵を並べ、それぞれの絵を修正、調整しながら描いていたのではないでしょうか。

 そう思って、三枚の絵をよく見たのですが、類似点が全くなく、とても組み絵には見えません。

 ただ並べただけではまったく別の絵だし、どのように組み合わせるのかも分からないし、お手上げです。

2.三枚の絵のサイズはどうなっているのか?

 組み絵だと仮定すると、それぞれの絵の大きさが重要になってきます。ネット上で、個々の絵はたくさん見つけることができますが、三枚の絵の大きさが分かるように三枚並べた画像は存在しません。三枚の絵をいわゆる「リプティク」といわれるような蝶番で開く絵と想像した方がいますが、残念ながら、絵のサイズまでは考えなかったようです。

 無いのなら自分で作ってみます。

 先ず、三枚の絵の大きさを見てみましょう。

 『聖アンナと聖母子』が最も大きく、『モナ・リザ』が四枚すっぽり入る大きさです。

 ここで着目すべき点は、三枚の絵の人物は同じスケールで描かれているということです。三枚の絵をばらばらに見たのでは気がつかないのですが、スケールを合わせて並べてみると、人物が同じスケールで描かれていることが分かります。新発見です。

 三枚の絵の大きさは、概ね下の画像のようになります。

 三枚の絵で人物が同一スケールで描かれているということは、「三枚の絵は組み絵」という管理人の仮説を力強く後押ししてくれます。

 組み絵だとすると、制作年から色々推測できます。レオナルドは1503年、『モナ・リザ』を最初に描きはじめます。この絵は前述の通り完成しません。次に、『モナ・リザ』制作開始から5年後の1508年に『聖アンナと聖母子』の制作が始まります。この絵も完成しません。そして、さらに5年後の1513年に『洗礼者聖ヨハネ』の制作に着手します。この絵は完成したと言われています。

 何を根拠に絵が未完成とか完成とか言うのでしょうか。それは背景の部分が描き終わっていないために未完成と言われているのだと思います。これに対して『洗礼者聖ヨハネ』は完成した絵と考えられています。この絵には背景がありません。背景は黒く塗りつぶされています。このため、「完成」と言われているようです。しかし、本当にそうでしょうか。背景を黒く塗りつぶしたのは別の背景を書き込むための下地塗りだったのでは?、という可能性もあるように思います。

 三枚の絵の制作開始が5年おきに行われました。このことは何かを暗示しているように思います。

絵画名 寸 法 制作年(推定)
 モナ・リザ     77 cm x  53 cm  1503年 – 1517年  
 聖アンナと聖母子   168cm x 112 cm   1508年 – 1510年  
 洗礼者聖ヨハネ     69 cm x 57 cm   1513年 – 1516年  

 組絵を配置する場合、どの絵がベースになるのかを考えてみましょう。これは制作年代を調べると答えが出そうです。最初に描いたものが基準となる筈です。三枚の絵画で最も古いのは『モナ・リザ』です。このため、『モナ・リザ』を基準にして残り二枚の配置を考えます。

 ここでふと思ったのが、ある色を取り除くと組み絵になるという方法です。最初に組み絵を描き、それぞれの絵の一部を特定の色で塗りつぶすことで組み絵に見えないように加工した。その可能性があるのではないか、と考えました。しかし、この方法で試行錯誤しましたが、良い結果は得られませんでした。

3枚の絵イーゼル.jpg

   Photo: ⒸNekoshi

 三枚の絵をどのように組み合わせるのか? レオナルドはアトリエに三枚の絵を並べて描いていたと考えられます。このため、絵を縮小したりするのではなく、そのままの状態で配置だけの問題だと推測します。

 組み合わせのための『キー』が絵の中に隠されているはずです。しかし、なかなか見つかりません。

 ふと、モナリザの絵の両側に柱の土台が描かれているのを思い出しました。土台だけ描くというのは何ともおかしな事です。「本来はモナ・リザの両側に柱が描かれていたが、キャンパスが切断されたために残っていない」と考えた専門家もいるほどです。詳細な調査の結果、『モナ・リザ』のキャンパスには切断されたような痕跡はなかったことが確認されています。

 それでは、柱の土台は何のためにあるのか。これが組み絵を配置する『キー』になっているのではないか。そう考えました。

3.組み絵を配置する『キー』とは

 『モナ・リザ』の絵の左側にある土台と組み合わせることのできる部分を『聖アンナと聖母子』の中に探します。すると、背景の中にピッタリ一致する部分が見つかりました。驚くほどぴったりマッチします。二枚の絵の接合部分は全く違うものなのに、不思議なことに一点でつながります(下図参照)。

 次に、「洗礼者聖ヨハネ」の配置です。この絵の特徴としては、①背景が黒く塗りつぶされていること、②十字架を抱えていること、③指さしていること、の三点を挙げることができます。

 このうち、②の十字架に着目しました。

 最初、マリアの母「聖アンナ」の額に十字架のようなものが見えることから、そこに『洗礼者聖ヨハネ』の十字架を合わせてみました。しかし、良い結果は得られません。

 次に、幼子(イエス)が抱えている子ヒツジに着目しました。それは、レオナルドの代表作『岩窟の聖母』と『聖アンナと聖母子』の構図が良く似ているのが理由です。

 『岩窟の聖母』では、聖母マリアと天使、幼児イエス、そして幼い「洗礼者ヨハネ」が描かれています。一方、『聖アンナと聖母子』では、マリアの母アンナ、マリア、幼児イエスそして「子ヒツジ」が描かれています。このことから『洗礼者聖ヨハネ』の絵は、『聖アンナと聖母子』の絵の中の「子ヒツジ」の部分に配置するのが正しいように思えます。

 そこで、再び接続「キー」を探します

 すると驚きの結果になりました。

 鉛直方向は、『聖アンナと聖母子』と『洗礼者聖ヨハネ』の絵を底面でそろえます。

 水平方向は、『洗礼者聖ヨハネ』の十字架を『聖アンナと聖母子』の右端にそろえます。

 すると、『洗礼者聖ヨハネ』と「子ヒツジ」が重なります(下図参照)。これには驚きました。『洗礼者聖ヨハネ』の絵は複雑なことは一切無く、とても簡単に『聖アンナと聖母子』の絵の中に配置できるのです。

 (重なり具合を見やすくするため、『洗礼者聖ヨハネ』の背景の黒い部分を切り取っています。)

      『聖アンナと聖母子』と『モナ・リザ』の接合部分の拡大画像です。

 以上が、今日時点の結果です。

 三枚の絵をこのように配置することの意味は何なのでしょうか。この配置をどう解釈すれば良いのでしょうか。

 ヨハネの指さす方向にあるものは?

 聖母マリアはなぜ不自然な恰好で母親の膝に腰掛けているのか? 太ったおばさんが年老いた母親の膝に座る構図ってどう考えてもおかしいでしょ?

 
 配置は解明したのに、その解釈ができない。やはり、「組み絵仮説」は間違いだったのでしょうか。しかし、この配置の考え方は無理がなく説得力があるように思います。

 管理人にはさっぱり分かりません。

 もう少し時間をかけて考えて見ます。

 下の画像は、今回の探求の初期段階で作ったスーパーインポーズです。せっかく作ったので想い出にアップしておきます。

   Picasaを使ったスーパーインポーズ

 【追記:2015/12/8】

 この記事の続きを書きました。下のリンクからお入り下さい。驚きの解決編です。

 
 『レオナルド・ダ・ヴィンチの組絵とその謎の解明